「私の名前は七原ミウ。よろしくね桐山秀一くん」

そういって七原未夢はにこっと笑った。

いったいなにがどうよろしくなんだろう。それに何でおれの名前を知っているんだ。ますます変な女。

おれが黙っていると、ミウはまた勝手に喋りはじめた。



「さて、自己紹介も終わったこどだし・・・」

そういうとミウはおもむろに転がっていたバスケットボールを持ち上げ、おれに差し出した。




「ねえ、バスケしよっか」



その時、なぜか無風のはずの体育館に、夏の風がさらっと吹き抜けた気がしたんだ。


なにかがはじまる。そんな根拠のない予感が止まっていたおれの中の時計の針を動かしはじめた。



こうして、おれの短い夏休みは幕を開けた。