それからおれたちは、これといった話もなく、最近見たドラマや、お笑い番組の話なんかをなんとか繋ぎあわせながら帰った。

おれは、ユキを家の前まで送ろうとしたけど、ユキはすぐ近所だからと、おれのガードを断ってスタスタとひとりで帰っていった。まあ、おれなんかのガードがなくても、ユキの右手には一撃必殺の正拳突きが備わっているのだから心配はないだろう。
玄関を開けると、さっそくおふくろの声がおれを出迎えた。

「あら、早かったわね。今日は戻らないかと思ってたのに」

高校生の保護者とは思えないおふくろの冗談を無視して、おれは自分の部屋へ戻った。今日はこのままさっさと寝てしまおう。部屋着のスウェットに着替えてベッドに横になると、またおふくろの声がした。

「で、お土産は?」

すっかり忘れていた。腹をすかせた我が家の王女は扉を叩きながらしばらくわめいていたけど、最後に一発強く扉を蹴って去っていった。おれが物心つく前に死んだオヤジは、あれのどこに惚れておれを産んだんだろう。

おれは、顔もよく知らない父親の人間性を疑いながらそのまま眠りについた。