「あっ!てかさ!お前知ってるか?」
私の妄想を掻き消すかのごとく
西堀が割り込んできた。
そのウキウキした表情から
まるで子供が新しいおもちゃを
見つけた時のような
無邪気さを感じる。
「なに?」
「さっき社長に呼ばれて行ったんだけどよ、ヅラがズレてんの見ちゃったんだよね」
そう言うと西堀は今にも笑い出しそうに
顔をおさえる。
全くこいつの話す事といったら
ロクな事がないな
私は呆れて声も出せずにいた。
「でさ、これが厄介でよぉ・・・社長気付いてないのかしらねぇけどそのまま真面目な顔して仕事の話するから俺笑っちまいそうになって大変だったんだよ」
いよいよ抑えきれなくなったのか
コピー機をバンバン叩きながら
笑い転げる西堀。
私は話を聞きながらも
西堀の背後に迫る影に気付いて
固まってしまった。
さっきまで騒がしかった
社内も一瞬にしてシーンと静まり返る。
そんな周りの空気にも気付かず
笑い続ける西堀に私は軽く蹴りを入れた。
「いってぇな、なんだよ山田?うぉあ!!!しゃ、社長!!」
「私が何だって?西堀?」
突然ヌッと顔を出した社長を見て
西堀はダラダラと冷や汗をかいた。
だが西堀の視線は
当然社長の頭に。
綺麗に直されたズラを見ると
またブッ!と吹き出してしまった。
