「ねぇねぇマサヒロ〜」


「ん?」



軽く体を預けている状態だが、マサヒロは一切嫌そうな顔をしない。



「コトコって好きな人いるんだって〜


誰かは教えてくれないんだけどさ〜。知ってた?」



軽い口調の私に対して、一瞬身体を固くしたマサヒロ。



本気に一瞬だったから、触れていなかったら気が付かなかったかもしれない。



口に運ぼうとしていたお摘みが、箸から逃げる。