その日はいつも通りに登校してから授業を受けて帰ろうとしていた…んだけど…






「え!!うそ!マユカちゃん?!」


「わ、菜緒さん??どうして…」


そう、偶然にも下足室ですれ違ったのは中学の時の2つ学年上の先輩である、三上菜緒さん。


「私バスケ部のマネージャーなの!」


そう言われれば、菜緒さんの両手にはおそらく選手のみんなの水分補給のためのボトルが入ったカゴ。


プラス、脇にはバインダーのようなものを抱えている…大変そう…


「菜緒さん、何か持ちましょうか?」

「え?いいの?」


いいも何も、目の前に明らかに大変そうな人がいるのに放っておくなんて…


「大丈夫ですよ?カゴ一つ持ちます」


「わ〜ありがとう!!」


と、菜緒さんから一つカゴを受け取ると嬉しそうにお礼を言ってくれてやっぱり放っておかなくてよかったと思う。


「菜緒さんこの時間にいるのって珍しいですよね?」


そう、いつも同じ時間に学校を出る私は今まで菜緒さんと会ったことは一度もない。


「進路のことで先生と相談してたらすっかり遅くなっちゃって…いつもはもっと早く用意するから部員も手伝ってくれるんだけど、もう練習始まっちゃってるから私1人なの」


…このボトルの量を1人で運ぶつもりだったの?!


「え、18本も…他のマネージャーさんは…」



「バスケ部のマネージャー、私1人なのよね〜興味持って来てくれるんだけどやっぱりキャアキャア言って体験の時にあまり仕事してくれなかったから理由つけてキャプテンに断ってもらったの」



なるほど…うちの学校の1番の成績を誇るバスケ部の人気は凄まじいと聞いたことがある。イケメンが多いんだとか…



「とりあえず、まだ水入れてないから冷水機まで一緒に来てくれたら嬉しい!!」と言われ断る理由もないので頷き、菜緒さんについて行った。