「ん?佐原さん?あ、さはらん!」
は??さはらん?
「なんだそれ」
「俺が付けたあだ名。佐原さんを縮めて、さはらん!いいだろ?」
…自信満々で言ってくる礼人
「全然よくない」
「でも、さはらん何も言わないぞ?」
それは“言わない”じゃなくて“言えない”の間違いだ。確実に。
「で?知ってんのか。」
「佐原さんは去年同じクラス。」
なんでか、佐原さんに戻ってるが…
去年、礼人と同じクラスってことは会っていた可能性もあるのに全然知らなかったな…佐原さんのこと。
「あと、ピアノが上手い」
「なんでそんなこと知ってるんだ?」
聴いたことがあるような口調で言うから気になる。
「俺の幼馴染の雅美と親友で、何故か一緒に佐原さんの家に行くことになったとき演奏するのを聴かせてもらったから。」
…なんか物凄く負けた気分になった。

