キミとオレンジ





「なんで謝るの?余所見してたのは俺だよ。立てる?」


そう言って未だに廊下に座り込んだままの佐原さんに手を差し伸べると、真っ赤な顔をして恐る恐る俺の手を掴んできて、「ありがとう」と恥ずかしそうに言ってきた。



正直言って……かなり、かわいい。っていうか、美人?
俺が180cmを超える身長だからか佐原さんを完全に見下ろす形になるけど、女子にしては高めの身長で160cmは超えてそう。


今は真っ赤な顔だけど、新学年になって隣の席にいる佐原さんの姿は嫌でも目に入る。その肌は真っ白で、猫のような印象に残る大きな目。そして鼻筋が通った小さめの鼻に、ピンク色の唇。



どこからどう見たって美少女…。
って俺どこ見てんだ??


佐原さんを見ていたことに気がつき、急に恥ずかしくなって、慌ててぶつかったときに怪我をしていないか聞いてみた。

「怪我してない?」


できるだけ表情に出さないようにした。


「大丈夫!それより、教室を出る用事があったんじゃないの??」

と聞かれ、礼人のことを思い出した。


「そうだ、礼人に言い忘れたことがあったんだ。」


礼人という名前に聞き覚えがあったのか、納得したような顔をして「本当に大丈夫だから、行ってあげてね。」と優しい笑顔でこっちを見ていた


なんだこれ、なんか照れる。


小テストのことが佐原さんの口から出てきて、危うく何も勉強しないまま臨みそうになったので「ありがとう、忘れてた」と礼を言って教室を出ることにした。