この迷路は、私。




私は今、自分の中を駆け巡っている。





…自分でも何を言っているのか分からないけど、ここで引き返せばもう二度と、私は自分と向き合えない。



これは…勝負。





私が“薔薇園”を見つければ、きっと何かが分かる。


私は何を考えていたのか。
何が大切なのか。





何を、したいのか。






迷宮入りした私の心。

見付けてあげられるのは私だけ。

意味の無い日常に、何か意味を持ちたくて、私はひたすら駆けた。













──どうして…?






私はその夜、顔を真っ青にした教師たちに見つかって、寮に帰された。



薔薇園なんて、なかった。





いや、見つからなかった。