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はぁ…はぁ…



私は道らしきラインをがむしゃらに駆け抜けていた。



走れば走るほど、進めば進むほど、広がる迷宮。



どの角を曲がれば良いかなんて、考えていなかった。

ただ本能のままに、望むがままに、進んでいく。




…いや、私は進んでいるのか?



最早どこが前で、どこが後ろか分からない。



まるで酔ったような感覚に、足元がふらつく。




…迷宮の、魔法?




我ながら乙女チックな発想だと自嘲しても、やはりそうではないと言いきれない。




…私はどうして、“さがして”いるのか?





走る必要なんて、何処にもない。

落ち着いて頭を使えば、直ぐにこの鬱蒼とした迷宮から出られるだろう。



なのに…私は、ゴールを目指している。


何処に在るとも知れない、伝説の薔薇園を見付けること。



いつの間にか、暇潰しは自分探しの競争に変わっていた。