──カサッ


「!!」


入り口の方から人の足音がする───奈緒先輩だ!!


私はニヤニヤしながらスタンバイする。

奈緒先輩はどんな反応をするだろうか?




(──来たっ)


「奈緒先輩!!遅かったで──」




私の頬が、凍りつく。

徐々に笑顔が困惑の表情へと変わっていった。








「──あら、先客が居たのね」





姿を表した人には、見覚えがあった。



優雅な立ち振舞いと、慈愛に満ちた面差し…





奈緒先輩と並ぶ、演劇部のトップスター、





「西宮 静架先輩………」






静架先輩はにっこり微笑んで、「ごきげんよう」と言った。