‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐後日。

その日のお昼休みも、あの薔薇園へ向かった。




私がどんなに早く薔薇園に着いても、奈緒先輩は絶対に私より早くあのベンチに腰掛けているのだ。



(今日こそは奈緒先輩より先に……っ)



私はダダダダと砂を蹴ってあのベンチを目指した。


こんな姿を教師たちに見られたら、反省文ものかもしれない。




「………あっ」





薔薇の園にたどり着いた。




奈緒先輩は………
来ていないみたいだ。



「やった!」


実は、先輩より早くベンチで待ち、『遅かったですね』と声を掛けることが私の密かな夢だったのだ。



私はほくほくとベンチに座る。



いつもあまり観賞していなかったが、ここの薔薇は美しいと思う。


色に統一性がなくてぐちゃぐちゃではあるが、どの花も私が一番とばかりに咲き乱れている。



「……奈緒先輩がいないと、なんだかへんな感じだなぁ」




奈緒先輩が居て初めて、この“薔薇園”という感じがするのだ。