外はやっぱり寒かった。
でも──そんなことさえ忘れさせてくれるような世界が、其処にはあった。
「薔薇って…枯れないのね」
そっと赤い花びらに触れてみる。
雪の雫が指先を塗らし、真珠のように煌めく。
「この種類はね。沢山の種類が適当に根を張ってるから、勝手にできちゃったのかも知れないわ」
エリカは鼻先を花に近づけて笑った。
「冬に咲くなんて可笑しな薔薇よね。長生きできないし」
そう言うエリカの表情は蔑んでいるわけでもなく、むしろ敬意を抱いているようだった。
「でもきっと自分が一番美しく咲き誇れる時期を知っているのよ。そう思わない?」
凛と、美しく。
何よりも輝いていられるように、命を懸けて。
「私、この薔薇が好き」
それだけ言って、もう一度薔薇の世界に見入っていた。
