「あれ、万里(まり)先輩は?」
いつまでたっても放してくれない双葉先輩の腕の中、観念して暴れるのを止めた私はふと呟いた。
万里先輩…生徒会書記を務める二年生で、次期生徒会長ともいわれてる先輩。
私はこの生真面目な先輩が少し苦手だった。
「万里?そういや遅いね。いつも15分前には来て、資料整理とかしてるのに」
はて?
と頭を傾げる三人。
あの典型的A型の先輩が、遅刻なんて。
しかし、噂をすれば何とやらとは、まさにこのことで。
「──遅れて申し訳ありません、ちょっと野暮用で…」
私と同じ台詞を言いながら、かの人は生徒会室にやって来た。
「万里、遅刻なんて珍しいじゃん。野暮用って何?」
双葉先輩はいつのまにか私を解放して、書類に目を通している。
私はお茶を用意しながら万里先輩の話を待つ。
時間に厳しい先輩の遅刻の理由…ちょっとは気になる。
