「静架……」

「奈緒、私──私っ……」


額に汗を滲ませ、私の胸に飛び込んで来た静架。


突然のことにびっくりした。



「奈緒、聞いて、私ね──」


息を切らして、必死に、私の目を捉えて離さない。










「私ね、私も、奈緒のことが好きなの──っ」


目を見開いた。

神様、これは──…



「あれから、ずっと考えてたの……私にはあなたが必要だって。あなたはいつかきっと、私から離れていってしまうでしょう?私、そんなの耐えきれなかったから──」

「…静架!」



ぎゅっと、強く静架を抱き締めた。


私の腰に腕を回す静架。


何度夢に見たことだろう。



「私も、静架のことが好きだよ」



泣きそうな程、嬉しくて。




私たちはそのまま、ずっと抱き合っていた。

何も言わなくたって、その気持ちを、幸福を、感じとることができる。



ただお互いのぬくもりを求めて。



雪のように降りしきる薔薇の花びら。


それだけが、静かに私たちを祝福していた。



──第二部 完──