──あれ、夢だったのかな…?



奈緒様と別れて、無事に校舎へ戻ることが出来たけれど、そもそも先刻のことが現実である気がしなかった。



考えれば考えるほど、幻覚?という疑念がまとわりつく。





「──千雪-っ!!どこ行ってたのよ!!」

「うわっ!?」


いきなり背後に衝撃を受けて、転けそうになる。


「一体何してたの?次の授業は体育だから、早めに着替えとけ、って言われたじゃない」


後ろからだきつきながら、美優ちゃんが言った。

きちんと体操服に着替えて。


「あ…っ そうだった!大変、早く着替えなきゃ…!!」


私は美優ちゃんを引き剥がし、「先に行ってて」と言付けると、更衣室まで駆け抜けた。






──そう言えば、奈緒様、次の授業に間に合ったのかな。


ずいぶんのんびりしていたようだけど。







キーンコーン カーンコーン


「!? やばっ…」




私は乙女らしからぬ格好で、校庭まで走った。