中学生の頃の僕は、不思議にも上手に赤を匿えた。 友達が見ても、先輩が見ても、先生が見ても、奥に佇む赤に気づかなかった。 間違えて変な塗り方をして空を怒らせることもなかったし、 特別大きな賞をもらって空を照れさせるようなこともなかった。 僕の描く空はあくまでも青空だった。 とにかく僕は、青空を描くのが好きだった。 それは高校生になっても変わらなかった。