筆を止め、席を立つ。 結局前みたいな青空は描けなかったけど、仕方ない、と恋心のせいにする。 部員の絵が並んでいる美術室の奥。上村さんの絵はすぐに見つけられた。 火が煌々と輝き、周りを黄蘗色に染め、人に光と希望を与える彼女の絵は、今まで見てきたどんな作品よりも暖色が生き生きと、これ以上にないくらい完璧な配色で使われていた。 絵の傍にある応募票に視線を落とす。氏名欄には 上村 灯 と彼女のように大人びた字で書かれていた。