青空が青色だけで描けるものではないと知ったのは、中学1年生の初夏の頃だった。

理科1分野の光の授業で、白い光を正三角形のプリズムに通した時、光がいろんな色に解かれているのが幻想的かつ鮮明に映った。

「実は空の青色は、この光の色の中の青色だけが見えているんですよー」
若くて小柄な女性教師の言葉に耳を傾けながら、窓の向こうの青空を眺めていた。

いや、青空なんかじゃない。

青の向こう、その水面下奥深く、僕の見えないところに、
赤や黄、緑を、忍ばせている、無表青。