二人の間に沈黙が続き、また辺りに静寂が訪れた。
すると、突然頭上に耳を塞ぎたくなるほどの飛行音が轟いた。
二人は互いに言葉も発さず、高層ビルの間から見える僅かな隙間の奥に見える鉛色の空を、数体の戦闘機が通り過ぎるのを見た。

確か、あの形は『地球』の戦闘機ー。

「また、争うのかな。」
「さぁ、僕らみたいな奴に軍事関係なんてわかんないよ。」
「…奴隷だから…?」
「何が?」
「僕らみたいな奴の意味…」
「あぁ。まあ半分そうかな」
あの日、他の星に地球(ここ)が支配されてから、人間は奴隷のような扱いを受けている。
朝は早く夜は遅く、月光鬼族に、他の種族に敗北した人間は厳しい労働生活を余儀なくされている。
互良もその一人だった。
当然、蓮鹿は勝者の側の者の為、人間とは区別されている。

「蓮鹿…。」
ふと、互良が蓮鹿に今にも消えそうなか細い声で呟いた。
「何?」
「僕、またここを『人間だけの所』にしようと思う」
「え!?また何で」
「ここが支配されてから、親と子は、子が10歳になると引き離されるのは知ってるよね?」
「うん…。」
「僕も引き離された身なんだ、だからお母さんの顔もお父さんの顔も見たことが無いんだ。」
「っで、でも!仮に取り戻すとして、どうするの?。第一互良にはどうこうする力や権限なんて…」
蓮鹿が言うのも無理はなかった。
蓮鹿は月光鬼族であり、月光鬼族は宇宙でも有数の肉体的、最強戦闘民族であるため、それなりの力は持ち合わせているが、
互良は力など皆無、ただの無力な人間なのだ。

だが、互良は11歳とは思えない妖艶な微笑で言った。
「誰が今からやるだって?」
「え?」
「そんなの百も承知だよ。」
「だから強くなるんだ。」
「強くなって、地球を家族をー、














一緒に取り戻そう!!」








これが、彼ら全てのハジマリー。