「いや、ここも昔と随分変わったなっと思って…。」
「…っ、そうなの…?」
「うん、昔はこんな地下みたいなところじゃなくて、ちゃんと朝も昼も夜も、空を拝むことが出来てたんだ。」
「いつからだろうか。空を拝むことが出来なくなったのは。今じゃ地球は、他の星の植民地になってしまった。」
そこで、互良ははっとした。
「ご、ごめん…。」
今のさっきまで互良の話を聞くたびに、顔を下げていた蓮鹿が顔を上げ、首を振った。
「うぅん。大丈夫。」

…そう、蓮鹿は日本人でも、ましてや外来人でもなかった。
蓮鹿はれっきとした『他の星』から来たものだったのだ。
地球はあまりにものテクノロジーの遅さや、環境破壊により、より力を失い、其れを見越した、地球に最初に手を出した種族ーー『月光鬼族』により完全に支配された。
その後、「これ機」と言わんばかりに、続々と、他の種族に支配された。
しかし、蓮鹿は『無知の世代』だった。
地球が完全に支配された後、地球に侵略した『支配した世代』の子孫にあたる子供から夢物語のように聞かされるだけの世代、それが『無知の世代』。

「元々、私の先祖が悪いんだし…。」
「それでも蓮鹿は悪くないよ。」
「でもっ」
「例え、蓮鹿が全ての話の発端の、『月光鬼族』でも蓮鹿は蓮鹿。関係ないじゃん」
「……。」