ミーンミン
初夏、土から這い上がって来た蝉が一斉に合唱を始めた。
地上では、梅雨のじめりとした空気が一変して、夏のからりとした空気になり地面をじりじりと焦がしているー、

という訳でなく、周りには気が遠くなりそうな高層ビルが長蛇の列を作って、辺り全体に影を作っている。

「…はぁ。」
「なーに溜め息なんかついてるのっ」
「蓮鹿(れんか)…。」
辺り一面に静寂が支配する場に、2人の少年少女。
少年、絢型互良(あやがたたがり)。
少女、蓮鹿・ヤガミ。