.:*・'仮恋〜甘い声で惑わす君〜.:*・'




「よし、今日はここからな」



「うん、がんばります!」



放課後になり、また図書室で二人だけの勉強が始まる。



外から聞こえる部活動の声とは裏腹にシーンと静まり返ったこの部屋。



意外と緊張するんだよね・・・。



「あっ、その解き方間違ってる」



「えっ、そうなの?」



「あぁ、この問題はこの公式を使って・・・」



恭弥の教え方は先生よりも上手で数学が大っ嫌いなあたしでもすんなりとわかる教え方。



「恭弥、解けたよ・・・って、寝てる」



数十分、恭弥に出された問題に格闘してて、やっとできるようになった。



その間に恭弥は寝ちゃったみたいだけど。



スースー寝息をたてる恭弥はいつもと違って子どもらしく見える。



意外とかわいいかも・・・。



そんなこと思いながら、髪の毛をゆさゆさと触ってみる。



「んっ・・・何してんだよ・・」



「あっ、ごめんね。起こすつもりはなかったんだけど」



見上げるようにして恭弥に睨まれ、パッと手を引く。



「ふーん、随分積極的なんだな優実は」