恭弥の家がどこなのかは分からないけど、方向を変えて歩いてくってことはたぶん遠回りなんだろな・・。
また、キュと音を立てる。
なんなんだろ、この胸の痛みは・・。
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「・・・今日は、来てないんだ・・」
次の日の朝、靴を履いて外を出るとふとそんなことをつぶやいていた。
何言ってんだろ、朝は一緒に行かないって言ったのあたしなのに・・・。
でも、もしかしてなんて思って少し期待してる自分だっていた。
あたし、どうしちゃったんだろ・・。
また小さくため息をつく。
昨日家に帰ってからなんとなく数学の問題やってみたけど、恭弥に教えてもらったところ全部解けるようになってた。
やっぱり、そう考えるとみんなが好きになるだけあるなってそう考えちゃう。
「おはよー!優実っ」
「あっ、おはよ!」
ぽんっと肩を叩きながら、藍香の明るい声が聞こえた。
それにしても、いつにも増してニコニコしてる藍香。
これは何かあったな・・。
「藍香、今日はとっても嬉しそうだね」
「うん、そうなのっ!昨日ね、彼氏と初デートに行ったんだけどね、ちょー楽しかったの!それでね・・」
うんうん、と頷きながらハイテンションで話す藍香を微笑ましく思う。
入学した時から一目惚れしたってずっとおいかけてたから、あたしも素直に嬉しかった。


