.:*・'仮恋〜甘い声で惑わす君〜.:*・'




「優実には手取り足取り教えてやらなきゃいけないな」



そう言いながらあたしの目を強く見てくる。



「いいか?今日から地獄の日々だと思え。毎日徹底的に教え込んでやるよ」



強い眼差しにコクっと頷くしかなかった。



「よし、んじゃまずこっから。
そもそもこの式の立て方自体間違ってる。Xはここじゃなくて・・・」



それから約2時間みっちりと数学を教え込まれあたしの頭はパンク寸前。



だから、数学って嫌いなんだよ・・。



はぁ、ため息をつきながら昇降口を出る。



少し吹いてる春のあったかい風に息をつく。



リフレッシュされる感じがする・・。



「ほら、何やってんだよ。帰るぞ」



「・・・わぁ!」



急に手を引っ張られたかと思うと大きな手に包み込まれる。



「今日はいいよ。恭弥だって遅くなるでしょ?それに、毎日だなんて大変だし」



相変わらずスタスタと歩く恭弥に合わせるのが精いっぱい。



「いいよ、俺が送りたくて送ってるんだから」