.:*・'仮恋〜甘い声で惑わす君〜.:*・'




「・・・恭弥」



恭弥はあたしのついさっき解いた数学のノートを見て眉をぐっと寄せる。



「優実、これ本気で解いたのか?」



「なっ、失礼だよ!いたって本気です」



むっとしながら恭弥を見つめる。



すると大きなため息をつきながらあたしの向かい側に座る恭弥。



「本当にお前バカなんだな」



「バカって言わないでよっ」



「だって本当のこと言ってるだけだろ?
しかもこの問題サービス問題だし」



「えっ、そうなの?」



「あぁ、てゆうか、このほかの問題も根本的に解き方間違ってるし」



ノートを恭弥の長い指でとんとんと指差す。



指を指された所を見ても何が間違ってるのか全くわからない。



「恭弥、指差されても分かんないよ?」



首を傾げながらそう言うと、また肩を落とす恭弥。



そんなに、あたしがバカなのかな?



今更ながら自分が心配になってくる。