ーーはあ、はあ。
その場に流れる静寂の中、互いの息遣いだけが響く。

「なんでっ!
…なんで助けたの!?」

引っ張り上げた反動で地面に叩きつけられた僕たちは、立ち上がること無く、地面に座り込んでいた。
目の前にいる女性も、汚れなど気にも止めずに僕に言葉を投げる。

「じゃあ僕からも聞くよ。
なんで命を投げ捨てようとしたの?
なんでまだある人生に終止符を打とうとしたの?」
「………っ」

女性は黙り俯く。
僕はそんな女性を見て、そんな女性の歌声を聴いて、何かを悟る。
女性は誰にも言うことが出来ない、辛い何かがあるのではないか。
だから、逃げるかのようにこの行動を起こしたのかもしれない。