ーーー「周りの者を、日本の者を、他国の者を、…敵に回してもか?」
ーーー「…彼女のバックにわ沢山の山程の人間がついている。」
あの女性はTVに映るキミ。
キミは今の現実から逃げようとし、それを捉えようとした、仕事関係者であろう黒い背広を着た男。
それに抗った僕は、男からそんな言葉を投げかけられた。
そう、キミは世界的人気歌手。
キミの仕事を止めれば、キミを待つ世界中の人々が悲しみ、そして僕を敵視するのだ。
…ああ、始めから無理だったんだ。
…抗えないんだ。
…キミを助けることは出来ないんだ。
僕は、優しくない人間なんかじゃない。
だが、世界の不条理に嫌気をさしていたくせに、目の前に立ちはだかった不条理に向き合えなかった。
…ああ、僕は優しくない人間だ。
TVに映る、画面の前にいる僕達に微笑むキミ。
僕達に助けを求めているようだった。
だが、僕とキミはこんなにも遠い。
…どうしたらキミに届く?
僕とキミとのツナガリは、鍔の広い真っ赤な女優帽だけ。
二章end...
