マンションの前を、飛んできた落ち葉がクルクルと冷たい風に吹かれて寂しそうに回っていた。


家具がすべてトラックに運び込まれ、ガランとした部屋はとても広く感じさせた。


カーテンのない窓からは、赤々とした夕日が差し込んでくる。


外し忘れたカレンダーは、まだ優が居た月のままだった・・・


ほんの少し前、そう優と過ごしたその時は、うるさく暑苦しくさせる蝉の声だったのに

それが今はもう、切なく淋しくさせる鈴虫の羽音が聞こえてきている。