優に急かされ、信号が赤なのを見てフロントガラスから空を見上げた。

それは、秋晴れという言葉が物凄く似合う澄んだ空だった。

水色の綺麗な空に綿菓子のような薄い雲が帯になって広がって、少し冷たい秋風が吹くたびにふんわりと流れてその形を変えた。

「ハル アソコ ミテ」

優は次々くる電車を指さしながら喜んでいる。


俺にはそこが終点で、俺と優との旅が終わってしまう景色に見えて電車に近づくのが憎らしかった。

俺はもう降りなければいけないから・・・


優の歩む道とは別の道を行かなければいけないから・・・