その晩、怖い夢でも見たのか

優がいっぱいの涙を溜めた大きな瞳を擦りながら

深夜のテレビを見ている俺の傍にノソノソとやってきて


「ハルゥ イッショにネテホチイノ。」

と言ってきた。


「どうしたぁ?怖い夢見ちゃったかぁ??」


小さくウンと頷くと俺のTシャツを少し引っ張って

一緒に行こうという合図をした。



手をつないでベットまで行くと優は布団の中にモゾモゾと潜ると

小さく丸く横になった。


俺の姿を確認するかのように振り向くその眼はから母恋しさが感じられた。



小さいこの体で淋しさを抱えているんだ。

今まで、いつも楽しそうに平気そうにしていても

本当は心では泣いていたのかもしれない。



そんな本当の姿を安心して俺に見せてくれたのかな・・・。


まだ3ツになったとこだもんな・・・。

そんな事を感じて何とも言えない切ない気持になった。



小さく丸まっている優の横にそっと入って

腕枕をしてやると

優は俺の方に寝返って少し眼を開けて嬉しそうなホッとしたような笑みを浮かべて、

また静かに眼を閉じた。



優と俺とがまたひとつ埋まった気がした。


優と俺との空白の時間が・・・。


小さな優を腕に抱いて優しく髪を撫でながら

安心して眠る優の顔を見ていると

とても穏やかな気持ちになって俺もいつの間にか眠っていた。



その夜はいつもよりグッスリ眠れた気がした。