それは
蝉のうるさい夏の日のことだった。
ミーンミーンミーン
いつもうるさくてクールな彼が
誰もいない2人っきりの教室で耳まで
赤くして私にこう言った。
「ずっと前から矢野のことが好きだった…俺と付き合って下さい」
その声は蝉に負けそうな程小さくって
弱々しかったけど私はすっごく嬉しかった。
だって私の大好きな幼なじみの裕也からの告白だったから。
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ピーンポーン
8時ちょうど
インターホンの鳴る音を聴いた私は
プリーツスカートのチャックをしめてスクールバックを持つと急いで階段をおりた。
ローファーに履き替えた私は
「いってきまーす」と言うとお母さんとお父さんの「いってらっしゃい」という声を背に家を出た。
そしてーー。
そこに待っていたのは大好きな裕也。
「おはよう」
起きたばかりの時のような裕也の
かすれた声を聞いて私はクスリと笑った。
「裕也、いつも8時に迎えに来てくれるけど大丈夫だよ?裕也さっき起きたばかっかりでしょ?」
「え!?なんでわかんの?」
「声が起きたばっかりのかすれた声になってるよ?それに…」
「ん?…ってうわっ/////
ちょ!? 桜さすがにそれはっ」
私は裕也のカッターシャツのボタンを外していく。
そしてつけなおした。
「裕也ってばボタンつけ間違えてるよ?一個ずれてたもん」
私はニッコリと笑った。
「なっ!?…びっびっくりした…
ごっごめんな?あと、その顔反則////」
裕也は片手で自分の顔を覆った。
指の隙間から見えた裕也の顔は
ほんのりピンク色に見えた。