それは
蝉のうるさい夏の日のことだった。





ミーンミーンミーン


いつもうるさくてクールな彼が
誰もいない2人っきりの教室で耳まで
赤くして私にこう言った。



「ずっと前から矢野のことが好きだった…俺と付き合って下さい」


その声は蝉に負けそうな程小さくって
弱々しかったけど私はすっごく嬉しかった。



だって私の大好きな幼なじみの裕也からの告白だったから。




*・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*


ピーンポーン


8時ちょうど
インターホンの鳴る音を聴いた私は
プリーツスカートのチャックをしめてスクールバックを持つと急いで階段をおりた。


ローファーに履き替えた私は
「いってきまーす」と言うとお母さんとお父さんの「いってらっしゃい」という声を背に家を出た。



そしてーー。
そこに待っていたのは大好きな裕也。



「おはよう」

起きたばかりの時のような裕也の
かすれた声を聞いて私はクスリと笑った。


「裕也、いつも8時に迎えに来てくれるけど大丈夫だよ?裕也さっき起きたばかっかりでしょ?」


「え!?なんでわかんの?」


「声が起きたばっかりのかすれた声になってるよ?それに…」


「ん?…ってうわっ/////
ちょ!? 桜さすがにそれはっ」

私は裕也のカッターシャツのボタンを外していく。



そしてつけなおした。


「裕也ってばボタンつけ間違えてるよ?一個ずれてたもん」

私はニッコリと笑った。


「なっ!?…びっびっくりした…
ごっごめんな?あと、その顔反則////」


裕也は片手で自分の顔を覆った。

指の隙間から見えた裕也の顔は
ほんのりピンク色に見えた。