草の手入れもされていないような河川敷。お世辞にも綺麗とは言えない川。外は昼下がりでまだ明るいが、ここの橋の下は薄暗いし、少しヒンヤリとしている。学ランを来た大柄な男が、大きな石に腰を掛け、ポケットから煙草を取り出す。煙草に火を付け、煙を大きく吸い込み吐き出す。足元には目をやると、顔を腫らし、少し血が滲み、制服のブレザーがボロボロになった男子高校生が倒れている。短くなった煙草を捨て、学ランの男が倒れている男にこう言う。




「二度と喧嘩売ってくるな。分かったか!?」




「は…はい」




「これからは…俺に従え。」




「す…す…すみません…でした。」




学ランの男は腰を上げ、少し汚れた学ランを手で振り払いながら、その場を去る。




この男、桃山高校3年B組桐生信長だ。