屋上へと向かう階段の踊り場。下の階からは生徒達の賑やかな声が聞こえるが、今この場には少しだけ泣き止み落ち着きを取り戻した由佳理と姫美子の二人がいる。しばらくの沈黙が続いた後、由佳理が口を開いた。




「…神田さんって…風間くんと幼なじみなんだよね…?」




「え?あ…うん一応。小さい頃から家が近所なの。」




「そんな幼なじみの神田さんに、風間くんの事言うのは失礼かもだけど…」


「ううん!気にしないで言って!アイツにビシッと言ってあげるから!…ヒデに何かされたのね?」




首を横に振る由佳理。




「じゃあ、何か酷い事を言われた?」




少しの間、黙った由佳理だったがまた目に涙が滲んできた。




「あー!ごめんごめん!!辛いよね?ごめんね、嫌な事聞いて。だから、泣かないで。」




由佳理は溢れる涙を拭いながら、姫美子に話した。




「風間くんの事がずっと好きで…。一年の時からずっと…。それで、この前、告白したの…。」




「そっか…。それでフラれたのね…。」




「いえ…OKだった。」




「え?OKだったの?」




「…うん。」




「…じゃあ、何で泣いてるの?」




ダムの決壊のように、今にも溢れそうな涙を必死に堪えながら、由佳理は答えた。




「23番目の彼女でもいいならってーーーー!!!!」




「えーーーーー!!!!???」




涙腺崩壊、修復不可。由佳理の涙はそれから30分は止まる事はなかった。その間、姫美子はただただ由佳理に声をかけ、背中をさすってあげる事しか出来なかった。虚しくチャイムが昼休み終了を告げる。