姫美子は自分の教室へと戻っていこうしたが、途中、女子生徒に話しかけられる。




「神田さん…。」




正直、姫美子とは仲良しの友達ってほどでもないC組の佐藤由佳理だ。印象としては、真面目で暗い女の子。この子が姫美子に話しかけるのは珍しい。




「ど…どうしたの?佐藤さん…?」




恐る恐る尋ねる姫美子。すると、由佳理は人目をはばからずに突然泣き出し、




「風間くん、最低なのーーーー!!!」




廊下で腰が砕けたかのように座り込む由佳理。廊下にいた他の生徒達がざわつく。




「どうしたの?どうしたの?佐藤さん?落ち着いて!ね?落ち着いて!」




一向に泣き止まない由佳理の手を取り、取り合えずその場を離れる姫美子。事情を聞くために、あまり人通りが少ない屋上へと向かう階段の踊り場へと向かう。ただ、姫美子にはなんとなく事情は分かっていた。【風間 最低】という言葉は初めて聞く言葉ではなかった。佐藤由佳理のパターンは何度も経験済みだったのだ。由佳理を抱えながら、姫美子は思う。




『またアイツも!!!!』