学校からバスに乗って30分のところに、姫美子の家がある。築18年2階建てのごく普通の家だ。ドアの横には小さな花壇があり、そこには綺麗な黄色い花が咲いている。




「ただいまー。」




「おかえりー。」




台所からビーフシチューの良い匂いがする。その匂いに少しテンションの上がった姫美子だが、玄関上がってすぐ目の前にある階段を昇り、自分の部屋へと向かった。六畳一間の姫美子の部屋にはピンクのベットに枕元には熊のぬいぐるみ、その他には机、本棚、テレビと置かれている。姫美子は鞄を机の上に起き、袴田から預かった茶封筒を手にとる。




「お母さん、ヤスくん家に忘れ物届けてくるー!」




階段を降り、台所で夕飯の準備をしている母親に声をかけ、再び家を出る姫美子。ヤスの家は姫美子の家の2軒隣。ちなみに、隣の家は信長が住んでいるアパートで、3軒隣りの豪邸は秀吉の家だ。