ひろ子はめぐみの家を出ると、自分のアパートへ帰って行った。

ひろ子を見送り、めぐみはため息をついた。
ひろ子が毎日のように、橋川家に遊びに来るようになって、めぐみとしては嬉しい反面、心配な事も増えた。
ひろ子は人の詮索をするのが好きな性格らしく、いつもいろんな噂話を披露して、めぐみを驚かせるのだった。
今も、近所の女の人がよその旦那さんと浮気してるんじゃないんかと、言って来たのだ。噂も有るし、自分も一緒に居る所を見たと言うのだ。
めぐみとしては、関わりたくない話しであった。面倒な事に巻き込まれたくないのもあるが、人に迷惑かけない範囲なら、自由だと思うのだ。もっとも、浮気となると、その人の配偶者とかには、迷惑がかかる事にはなるが。
「でも他人事だと思わない方がいいかもね。」
めぐみは独り言を言った。「明日は我が身かも」