不都合と好都合

「結婚の前祝いを兼ねて、この後二人で飲み明かさない?」
雪は期待を込めて橋川の顔を見た。
「飲み明かす?お前、自分の体を大切にせんと。お前こそ彼に振られるぞ。」
橋川の顔には軽蔑するような表情が浮かんでいた。
雪の必死の勇気は砕け散り、おまけに軽蔑されて、屈辱で泣き出しそうになった。
「何よ!せっかくお祝いしてあげるって言ってんのに!」
雪は泣き声で橋川に叫んで
「ばか!」
と、持っていたバッグで橋川をしばいて、その場から逃げ出した。
「痛。」
橋川の声が聞こえたが、雪は一目散に走って逃げ出したのだった。