不都合と好都合

雅夫が助け船を出した。
「あ、そうそう西田さん。西田さんって結婚式にもいらしたかたよね。」
「ああ…」
雅夫は上の空の様子だ。
「会社の人が来てもいいよ。西田さんって人もいろいろ持ち寄ってお邪魔しますって言ってたし。」
こういう時の雅夫は厄介なのでめぐみは急いで言った。しかし、めぐみの態度は雅夫の感情を苛立たせるものだった。
「めぐみ、勝手な事言うな!会社の人間は家には来ない。来させない。西田は絶対に来させない。」
雅夫はきっぱりとそう言い放って出て行った。
「あーあ。そんなに怒る事ないのに。」
めぐみは雅夫が食べ残したケーキにラップをかけながらため息をついたのであった。