それはまるで魔法のようで




「石野さん、あんた、泰千君のいったいなんなの!?
いつもいつも周りにまとわりついて。
泰千君、困ってるのよ?」



ああ泰千や。
あなたのファンは大変恐ろしいです。



「別に、ただのクラスメートですけど」



「だったらなんでベタベタしてるのよ!!」



「…えっと…別にそんなつもり…」



まあ、泰千が構ってくるので…



「はっきり言いなさいよ!!」



と、一番前の真ん中にいた人の右腕が上にあがった。



反射的に目を瞑ったら聞こえてきた手のひらで叩かれる音。



そして、徐々に感じてくる鈍い頬の痛み。



気がついたら左手で頬を押さえていた。