あれはまだ、僕が学ランを着ていて


君が、
ユキが


懐かしい母校のセーラー服を着ていた頃の記憶。





付き合い始めたのは、中学2年の時だったと思う。



僕を振り返る、仔犬のような目と、線の細い声。


肩辺りまでのふわふわな栗色の髪が、
柔らかくて、とても好きだった。





そしてよく、僕は彼女にドキドキさせられていた。



すぐに写真を撮りたがる指先と
被写体を眺める、横顔の美しさに。




カメラを持たず、型どっただけのフレーム越しに、


僕は何度、呼吸を忘れただろう。






割りと順調に、穏やかに付き合ってきた僕ら。


だけど障害は、中学3年の冬。


受験シーズンも追い込みに追い込みを重ね、学校全体もピリピリしていた、
そんな時期のことだった。