「ま、かい・・・?」
ここは地球ではないというのか。
「そうだ。」
紅の瞳がぶつかる。
長身の男はわたしの顎から手を離し、ふっと横を向いた。
視線の先には見たことのない地図がはってある。
「神々がお前らの世界からいらないと判断したものが集う地だ。」
地図の中央には黒く太い線があった。
禍々しいあれは何なのだろう。
いつの間にか横にはオヴァが立っていた。
「悪魔、化け物、魔女、幻獣、・・・カガリがいた世界にはいなかったでしょ?御伽噺の中のものたちは。」
当たり前だ。
だってあれらは人間が作り出した架空の存在。
「神様とやらは彼らを作り出していたよ。そして失敗作とでも思ったのか人間の住む世界から一階層下の、この世界に放り投げたんだ。」
オヴァは少し寂しそうに笑った。
地図を見る男の顔はこちらからはうかがえない。
「・・・わたしも、神に捨てられたのね・・・」
呟くと男がゆっくりとこちらを向いた。
静かな顔。
「そうだ。お前も、俺たちも、神に捨てられた。」

