「ここはどこなの?なんでわたしはあなたの主の城の庭なんかに寝ていたの・・・?」

オヴァの青い目を見つめる。
澄んだ青だ。
「慌てないで!今から主のところに連れていくから!説明は主がしてくれるよ。」
オヴァは焦りながら狼から降りて、座り込むわたしの手をつかんで立たせた。
「連れていく・・・、わたし何をされるの?」
不安になり聞くとオヴァはまた笑った。
思ったよりも大きい手を頼りに立ち上がる。

「大丈夫だよ。悪いことはされないよ。」
「ほんとう?」
「うん、ほんと。」
オヴァに招かれるままに狼に跨る。
狼は嫌そうに頭を振り、不満げにオヴァを見た。
「ほら頑張って、オーワ。」
頭を撫でられ狼は渋々走り出した。
「オーワってこの狼の名前?」
堕ちないようにオヴァの腰に手をまわして大声で言った。
「そうだよ!いい名前だろう?・・・そういえばお嬢さん、お名前は?」
ここでわたしは自分が名乗っていないことに気が付いた。

「カガリよ。いい名前でしょう?」

そう返すとオヴァは大声で笑って頷いた。
「とてもいい名前だ!」