それからしばらく他愛ない話をしてカフェをでた。 ちなみに、このカフェの名前は『カフェ』という。 帰り道を二人は並んで歩く。 端から見れば恋人どうしに見えたかもしれない。 「また行きましょ、時雨くん」 「いいよ。僕もあそこを気に入ったよ」 「ありがとう」 そう、楓は笑った。 その顔に時雨は、 (やっぱり可愛いな) そう思ったのだが、それはまだ恋と言えるものではなかった――