楓は昼休みに来たっきり時雨の元には来ないで読書をしていた。
そのまま、いつもと変わらない午後の授業は終わり、放課後になった。
時雨は帰るため、鞄に教科書やノートを詰めていると、楓がやって来た。
「一緒に帰りましょう」
「いいけど、楓は帰る方向一緒だっけ?」
「えぇ、何度かあなたを見掛けたことがあるから」
「へー、そうなんだ。じゃあ一緒に帰ろうか」
時雨は鞄を背負って立ち上がった。
ちなみにいうと、時雨達が通うこの清涼高校は指定の鞄がない。
そのため、みんな自由な鞄を持って来ている。
時雨は背負うタイプで、楓はスクール鞄だった。


