「何やってんの?」



横から画面を覗きこむ。




「大学のレポート。期限迫ってて。」




何気なく手元を見ると、右手だけでキーをたたいてる。




「左手、まだ痛む?」




「いや、痛くはないけど。突っ張った感じがして…」



「糸が、かかってるからね… 貸して? 私、やるから。」




「いいよ! そんな事まで!」




ひょいとパソコンを抱えた私に、慌てて手を伸ばす彼。




「これで単位落とされたりしても、困るし。私、結構得意だから。これを打てばいいんでしょ?」




手書きのノートをパラパラめくる。




「うわっ、きたない字!」



思わず吹き出すと、にらまれた。