「お待ちのお客様、どうぞ。」




隣のレジから、彼の低い声が響く。




周りを見ると、待ってるのは私だけ。





行っていいんだよね?



やったー!




普通の顔を必死に保ち、彼の前に立つ。




今日は、お釣りを渡してくれる手がホンノちょっと触れた。






「ありがとうございました。」




涼しげな、彼の低い声に送られて店を出る。





また、ニヤニヤしてしまう。


止まんないよ〜







この気持ちが何なのか、自分でも上手く説明できない。





ただ…




彼に会えて、嬉しい。




これだけは、まぎれもない事実だった。