彼岸の杜





「ただいまー」



学校帰りに紗季とケーキバイキングに寄ってただいま帰宅。ちょっとケーキ食べ過ぎた。気持ち悪っ。


口元を押さえて自分の部屋に向かっていると居間に続く扉からひょこ、と出てきた顔。し、心臓に悪いな。



「お帰りなさい」


「うん、ただいまぁ。あ、お母さん聞いてー」



今日またフラれた〜と泣きつこうと思ったら「その前に制服着替えてらっしゃい」とすげない態度で言われた。くすん。


まぁ正論なんだけど、紗季にも冷たくされてお母さんにも冷たくされて……あたしを労ってくれる人は周りにいないんかい。


わーん、と内心で泣きながらさっさと自分の部屋に向かう。制服をハンガーにかけ、簡単にシャツとショーパンを着てから居間に戻った。



「お母さーん、ってあれ、お父さんとじーさまは?」



いつもならいっしょにごはん食べてるのに。


居間にいるのはお母さんと愛猫のもちだけ。(ちなみに『もち』という名前はあたしがつけた。真っ白でもちみたいだと名前をつけたけど、最近はその名の通りにふくよかに育ってしまって……ぷにぷにして気持ちいいけどさ)



「お父さんたち、今日は飲み仲間と一杯ですって」


「あーあのメンバーね」