しばらくそこで清二さんと主に茜のことや村の話しをしていたら随分と時間が経っていたみたいで。日が暮れてあたしがくしゃみをしたことで「そろそろ帰ろうか」と清二さんが言ってくれた。


いやーそのときのくしゃみときたらめっちゃ親父臭い感じで……過去に戻りたい。てかなんでかわいい子はかわいいくしゃみできるんだろうか。くしゅんって感じで。あたしなんかぶえっくしょんっ、て感じなんだけど。解せんぞ。


鼻をすすってそんなことを考えていたら清二さんがクスクスと柔らかく笑っていてますます心の中で「解せぬ!」と叫んでしまった。


そういえばどうして清二さんがあたしを茜との大切な思い出のある泉に連れてきてくれたのかって聞いてなかったよね。気になってたけど忘れてたや。


うーん、茜とか清二さんの過去の話とかじゃないし聞いてもいいかな。ちょっと考えてからそれとなく聞いてみたけど結局はぐらかされてしまった。


でもそのはぐらかし方っていうのもあんまり話したくないっていう拒否の感じじゃなかったしまた聞いたら教えてくれるかも?話中断したのは神社に着いたからっぽいしね。



「茜ー、ただいまー!」



いるかな?と玄関の方から声をかけるとすぐに足音がして茜が「お帰りなさい」と笑顔で迎えてくれた。新婚の夫の気分である。