彼岸の杜




清二さんは少し躊躇ったみたいだけど最終的にはあたしの疑問に答えてくれる。



「今、村ではあまり作物が取れてないんだ」


「あ、それ茜から聞きました」


「そっか…話したんだね」



困ったように悲しげに微笑む清二さん。作物が取れないのと子供と何か関係があるんだろうか。


うーん、馬鹿なあたしじゃさっぱりわからん。パズルとか苦手だし。


話を促すあたしに清二さんは少しだけ遠いところに視線を飛ばす。その瞳には悲しげな光があるけど仕方ないと諦めているようにも見える。



「作物が育たない、取れないってことはそれだけ人が食べるのに困っているということ。大人達が食べて生活するのに精一杯なんだ。だから子供には自然と回らなくなる」


「ぇ……」



それって、といつだったか歴史の先生に聞いた話が頭の中をかすめていった。



「子供の口を減らすために家では子供を人買いにやったり生まれたばかりの子は間引いたり……そんなことでもしないとやっていけないぐらいなんだ、この村は」



やっと、清二さんの悲しげな表情や声に納得がいった。


歴史の1つの話としては聞いていたけど、実際に目の前でそういうことをされているのだと言われるとどう反応するのが正しいのかよくわからない。


だってすっぱり言っちゃうと小さな子どもは殺してるってことだよね……?


自分が育ってきた時代とは全く違くて驚くし、ちょっとだけ恐怖を感じたりもする。