ぶるり、体が寒さで震えてあたしは目が覚めた。


パチパチ、寝起きでしょぼしょぼする目でまばたきをしていれば柔らかくて優しい光がこの空間に満ちている。


ごろりと仰向けになれば視界に入る天井。もちろんいつも目覚めるあたしの部屋の天井ではなく、昨日も見た天井。改めて思う。



(ほんとーにタイムスリップ的なものしちゃったんだなぁ……)



目が覚めたら自分の部屋で昨日あったことは実は全部夢でした!!みたいな夢オチを考えてなかったわけじゃなかったんだけど。逆に現実味帯びてやべー。



「うっ、というか寒い」



腕をさすって寒さでできた鳥肌を落ち着けようとする。てか今何時なんだろ。いや、この時代に時計なんてものないか。


ふと隣を見ると昨日隣で一緒に寝たはずの茜の姿が見当たらなかった。あたしも結構早起きな方だと思うけど、昔の人ってみんな早起きなんかしら。


二度寝をするのもなんなのでいそいそと布団を部屋の隅に片付けて茜を見つけるために部屋を出る。


朝ごはんでも作ってるのかな、と現代でいうところのキッチンスペースを覗いてみたけど茜はいなかった。でも竃がまだ温かかったからここにいたことは確かみたい。


なんかこういうこときてると自分が探偵になったみたいでちょっと楽しい。探偵っていったらホームズだよね。残念ながらワトソンくんはいないけど。